札幌駅総合開発株式会社

アートボックス

ART BOX in JR TOWER

アートボックスとは?

JRタワーでは、コンコース、モール、駐車場、店舗などさまざまな場所に多彩なアートが共演しています。
JRタワーアートプロジェクトでは、北海道のアーティストたちに新たな発表の場を提供することを目的に、JRタワー1階東コンコースに「アートボックス」を設置いたしました。
2009年度からは、一般公募した作品の中から優秀賞に選ばれた作品を3カ月ごとに展示しています。
2013年度の作品展示は、グランプリについては、該当者はいませんので、優秀賞3名の展示を行います。第2回目の展示作品は、毛内やすはるの「結晶」です。
展示期間
2013年9月1日(日)~2013年11月30日(土)
場所
JRタワー1階 東コンコース

結晶

今回展示するのは、アートボックスに宇宙や夜空のような場を出現させる作品です。
厚紙を素材とした大小21個のカラフルな造形物が、黒い空間から浮かび上がります。
それぞれの造形物は抽象的ですが、同時に、見る者に「何か」の感触を与えます。
作品タイトルの「結晶」とは、原子や分子の規則的な配列を持つ物質のことを指します。
それらは多様な表情を持つと同時に、自然界の純化された構造を示すものでもあります。
結晶が、宇宙や自然の原理の一端を感じさせるように、今作品の造形物それぞれが、見る者に「より大きなもの」への想起をもたらしてゆくこと。
それは、「今ここ」にある作品から得られる「何か」の感触を通じて、見る者一人ひとりが自らの「感覚」の広がりを見出すことでもあります。
今展示によって、作品の存在と行き交う人々の視線とが交錯し、意識の共振と共鳴を誘うことができればと思います。


■作家のコメント
私が現在主に制作しているのは、厚紙を素材とし、それを油絵具で着色した後に組立て立体化する造形作品です。
油絵具を何度も重ねることでできたマチエール(絵肌)により、表面は石のような表情を持ちます。また、作品は抽象的でありながら、具体的なものとの関わりを感じさせる形をしています。そして作品は張り子状に作られているため、重量は軽く、内部は空洞です。

色彩が与える「重さ」と、素材そのものの「軽さ」は、見る者に錯視的な感覚を与えます。形と色、見た目と現実とのずれが、微妙な感覚の齟齬や揺らぎをもたらすのです。こうした、作品を見ることによる感覚の揺れ動きは、私の制作におけるとても重要な要素です。作品を制作してゆく過程で、こうした変化を感じ取ることは、知覚印象の不安定さと新鮮な驚きを与えます。微細な変化の刺激を受け取ることで、作品存在の中に、新たな発見とイメージが生じてゆくのです。その感触は、決してはっきりと言葉にできるものではありません。しかしこのような過程を経ることで、形と色と素材とが密接に関連し合い、作品は、見る者をより強く触発するものになってゆくのだと思います。

作品を見ることを通じて、容易に言語化しえない「何か」の感触を残すこと。それはまた、視覚以外の感覚や記憶を喚起し、見る者の意識に、自分の感覚と様々なものとの繋がりを感じさせてゆくことでもあります。
作品がその前を行き交う人々の眼差しの中で、「感覚」の広がりをもたらす媒介となってゆくこと。
それが、私の制作活動を支える大きな動機となるものです。

毛内やすはる(もうないやすはる) (2013年9月現在)

略 歴
1976年 北海道江別市生まれ
1999年 武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業

主な展覧会
2006年 個展「かぜのなか」ギャラリー覚(東京)
2007年 「Born in HOKKAIDO大地に実る人とアート」北海道立近代美術館(札幌)
2008年 「キャラバン隊「ルナ・パーク」展」art space Kimura ASK(東京)
2010年 「北海道立体表現展 10」札幌芸術の森美術館(札幌)
2011年 「抽象彫刻30人展―北の作家たち―」札幌彫刻美術館(札幌)
2012年 「アルタイルの庭」札幌エスタ・プラニスホール(札幌)

受賞・その他
2001年 第16回ホルペイン・スカラシップ奨学生
2011年 あいちアートプログラム「アーツ・チャレンジ2012」入選・愛知芸術文化センター
2013年 JRタワーARTBOX優秀賞受賞