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JR TOWER

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【JR TOWER Short Story Vol.01】 「ハッキョイ!」 / 作: 朝倉かすみ PROFILE FLASH版HTML版 TOPへ戻る

 かれの住まいは石狩市にあるようだった。札幌の隣のまちだ。バスで四十分ほどの近さだが、千草はまだいったことがない。
 池谷くんは、塾にいったっきり、家に帰ってこなかったそうだ。当日午後九時ころ、コンビニで立ち読みをしていたのが、最後の目撃情報だった。百六十一センチ、四十三キロで、そのいでたちは、黒いニット帽にダウンジャケット、デニムにスニーカー。
 千草はかれが失踪した日のことを思い出そうとすることがあった。二月八日。その日、あたしはなにをしていたんだったっけ。
 記憶を探ると、なぜか、フラミンゴの羽が浮かんでくる。麻理子さんのバハマみやげだ。バハマの、ナッソーというまちの、動物園で拾ってきたというフラミンゴの羽を、千草は写真立てに入れていた。
 その動物園では、フラミンゴたちは一日に数度、ショーをやるのだそうだ。派手な帽子をかぶったフラミンゴじいさんがいて、かれの指示通り、フラミンゴたちは円形の運動場を走ったり止まったりするらしい。
 フラミンゴの羽はとてもきれいだ。オレンジ色とピンクの中間の色をしている。写真立てに入れる前に、千草はその羽でほっぺたを撫でた。その感触。
 池谷くんがいなくなった日のことを思うと、同じ感触がやってくる。くすぐったいような寒気が背なかのくぼみを一直線に走った。

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