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JR TOWER

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【JR TOWER Short Story Vol.02】 「こころの霧を晴らすには」 / 作: 守屋 一明 PROFILE FLASH版HTML版 TOPへ戻る

 それなら何が物足りないのかって首をひねってみるけど、答えは見つからない。だけど、こころに霧がかかる。その霧が深くなり、足元さえ見えなくなるときがある。
 三日ほど前、同期入社のカナコを食事に誘った。今は違うが、去年まで同じ支店だった。何度かいったことのあるイタリアンレストランで待ち合わせた。お互いの近況や行員の噂などを話したあとで、ユリは今の気持ちを彼女にいった。
「ゼイタク!」
 たった一言、カナコはいって、きれいに巻きつけたパスタを口に入れた。
「・・・やっぱり、そ、そうだよね」
 あまりにも単純明解、かつ素早い反応にユリはそういうよりほかない。
「・・・でもさぁ、カナはそういう気持ちになったことない?」
 あっさり肯定したものの、チョット口惜しかったので、未練顔は出さずに訊いた。
「あるわよ、あたしだって。生身なんだから」
 カナコは片頬で笑う。
「そう、やっぱりあるでしょ」
 わが意を得たりという思いで、ユリは顔をほころばせる。

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