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JRタワー「アートボックス2019」選考結果のお知らせ

 札幌駅総合開発株式会社では、JRタワー開業以来「JRタワーアートプロジェクト」を展開していますが、その一環として、北海道のアーティストたちに新たな発表の場を提供することを目的に、2008年4月からJRタワー1階東コンコースに「アートボックス」を設置しています。

 このたび、2019年度に向けた、公募型コンペティション作品2点と活動実績を基にした作家指名のプロポーザルによる作品2点の選考を行い、決定いたしましたので、お知らせします。

 作品は、6月から順次JRタワー1階東コンコース「アートボックス」に展示する予定です。


◎作品選定の公募型
(1)優秀賞(賞金:20万円)
受賞者:小里 純子 (こさと じゅんこ)
受賞作:みんなと違って 何が悪い
作品概要:自分の個性がアピールできる人物像をダンボールなどで制作し、大胆な形や色を使い、説得力のある作品を展示する。


(2)優秀賞(賞金:20万円)
受賞者:小林 知世 (こばやし ちせい)
受賞作:空気の底
作品概要:「空気の底」という言葉をキーワードに、日常の中で感じる気配や圧、霧、耳鳴りなどをテーマとし、平面、立体などを用いた空間を意識する作品を展開する。


◎作家指名のプロポーザル
(1)藤原 千也(ふじわら かずや)(彫刻家)
木彫作品が主の彫刻家。近年は巨木の内側を切り抜き、照明と組み合わせた、大型の彫刻/インスタレーション作品が注目されている。
略歴
1978年生まれ
北海道教育大学大学院研究科修了、大阪芸術大学美術学科卒業
2018年「北海道教育大学ピカリ展-12人の切りくち-」
まるひこアートスペース和(札幌)
個展「藤原千也 オープンアトリエ-十勝中札内村-」(中札内村)
2017年 グループ展「光の抜け道」大丸藤井セントラル・スカイホール(札幌)
「韓国淑明女子大学校・北海道教育大学 学生交流美術展2017」
北海道教育大学アーツ&スポーツ文化複合施設(札幌)
2015年「六花ファイル第6期収録作品」六花文庫(札幌)


(2)坂東 史樹(写真/インスタレーション)
自身の潜在意識を作品に投影する作家。
夢で見た風景を精密な模型で復元し、そこに日常生活や現実社会の事物などを加えることで、夢と現実の境界を曖昧にさせている。
略歴
1963年 札幌市生まれ
1995年 ロンドンユニバーシティー、ゴールドスミスカレッジ大学院卒業。
2012年「札幌美術展 パラレルワールド冒険譚」(札幌芸術の森美術館)
2011年「樽前arty2011-記憶の循環」(苫小牧市立樽前小学校、苫小牧)
2007年「アミューズランド2007 ビューティフルドリーマー –夢からの贈り物-」
(北海道近代美術館 札幌)
2006年「FIX・MIX・MAX!現代アートのフロントライン」
(北海道近代美術館、札幌)、
アミューズランド2007「ビューティフルドリーマー –夢からの贈り物-」
(北海道近代美術館 札幌)


◎選考概要
公募作品の2点につきましては、2018年11月1日から2ヶ月の間、募集を行い14件の応募がございました。様々なジャンルの作品プランから、厳正なる審査の結果、一次審査(書類)において6作品に絞られ、二次審査(プレゼンテーション)により2名の受賞者が決定いたしました。作家指名のプロポーザルにつきましては、第一次作家選考会議におきまして、17名の作家候補から、10名に絞りまして、第二次作家選考会議で10名から4名に、最終審査で2名が選ばれました。6月から順次JRタワー1階東コンコース「アートボックス」に作品が展示される予定です。どうぞご期待下さい。


◎審査員講評
(1)伊藤 隆介(映像作家/北海道教育大学教授)
今期の審査は、過去数年を振り返っても最も水準が高く、応募作家にとっては激戦であったことを初めに記します。
どの作家、応募案が選出されても不思議はない内容でした。
昨年までの規定で言えば、グランプリであったろうと言える小里純子さんの存在感あふれる造形作品の、ガウディやニキ・ド・サンファルを思わせる大胆な形や色彩には、小賢しい美術論を超えて観る人を微笑ませ元気にさせる、美術本来の大らかな造形の力がありました。
今回の特徴は、優れた画家たちによる空間造形への挑戦が見られたことです。もう一人の入賞作家である小林知世さんはその代表格で、繊細緻密な自らの絵画世界を空間にまで拡張していき、またそれによって絵画そのものを批評するような構成が魅力的でした。同様にお二人の画家、佐藤菜摘さんがその重層的な想像力に満ちた世界を、梅木はるか(KAKA)さんが具象と抽象をめぐる冒険を、ARTBOXの存在を触媒にして展開させようとした二つのプロジェクトは、野心的で嬉しいものでした。
審査結果は、そういった実験をすでにスタートしていた小林さんが長じましたが、お二人の世界観も実現される強さを持っていると思います。ぜひその挑戦を持続し、次回のARTBOX公募で実証して欲しいと思います。
川戸藤枝さん等による刺繍作品は、工芸を北海道に広めたいという使命感、そして何より高いクオリティで、完成作を最も実見したいプロポーザルでした。プレゼンでは、伝統的な技法に現代性や北海道の地域性のある意匠を盛り込む案もあったとの説明を受けましたが、伝統的な仕事が新たな生命を得て、札幌駅にあふれる最先端ブランドのディスプレイや商品を凌駕する、そんな作品の実現を期待します。
齋藤玄輔さんによる、カーボンを使った版画作品の独創性には感心しました。作家の手仕事を通した誠実さや充実感、鑑賞者の網膜的な満足感のみであれば、伝統的な美術やデザインでも必須ですが、さらに社会的なメッセージを共有したいという作者の意欲を評価したいと思います。それゆえに、表現と手法の整合性という課題も背負う齋藤さんは、(他の候補作家と比べて)格段に高いハードルを自らに課した作家であり、審査もそれに合わせたと言えます。今まさに行われている試行錯誤や実験を経た、堂々たる次回作に期待したいというメッセージを受け取って欲しいと思います。本審査の作家の皆さんの作品や活動は個性的かつ充実しており、審査というよりはそれぞれの世界観に関する質疑応答といった風情で、楽しい時間を過ごさせていただいた感です。皆さんの今後のますますのご活躍をお祈りします。
ARTBOX講評

(2)岡部 昌生(美術家)
この駅の空間には、さまざまに配慮されたアートワークがみちている。それゆえなのか、北の地の生活が映し出された姿なのか、ある落ち着きと空気のながれがある。ARTBOXの10年は、雑踏の空間に挑戦する、テンポラリーなパブリックアート。
小さい。けれどこの軽やかな挑戦の強度こそが、鮮度を放つ。さて今年はどうだろう。
審査選考のシステムが変わった。公募と指名プロポーザル。応募審査は絞られた6名とのプレゼンによる応答。これまでになく面白く、双方向、濃密に流れた時間のなかにこそ、クリエィティブにつながる方向があって、応募と審査のありようも考えさせられた。資料をめくり、素材やマケットに触れ、真摯な表現を評価し共感したり、視点をかえてコンセプトを再提案したりと、まるで審査というより共同の制作のような表現/審査の現場が現われた。
・空気の底 都市の気配や圧迫感 モノがプレル感覚。その痕跡を繊細に、版を重ねるように妙に染みた質量を積層させながら奥へと浸透させる知性の深度と濃度(小林知世さん)
・対照的に噴きだすように表出されるニンゲン像のカタマリが放出され、「喜怒哀楽ナシ」と投げ出されたかのように屈託なく突きつける無垢な表現の鮮度(小里純子さん)
このふたつを含めたあらたな挑戦によって、ARTBOXの「函のいま」と「今の函」、その深度と鮮度が印象づけられると思う。雑踏のなかにあって、歩行しながら視野にいれ、瞬時の記憶であったとしても、何かを受けとる自身を見いだすときとなるだろうと、この新しく生まれる空間に思いを馳せます。                              
「審査の光景、「函のいま」の鮮度と強度」

(3)上遠野 敏(札幌市立大学教授)
実物の作品を見て作家さんの話を聞けたのが、大変有意義な時間でした。
佐藤菜摘さんの絵画は独自の世界観があり完成度も高く、今後の展開が期待できます。
絵画の柔らかな空気感を立体にするならソフトスカルプチャーを試してください。
川戸藤枝さんの「宝船」は良質な刺繍で日本の伝統芸術の素晴しさを伝えています。
京都の人たちは伝統を継承しながらも、常に新しい文化芸術を作ろうと努力をしています。
現在性を加味することは、今を生きることだと思います。
梅木はるか(KAKA)さんの旅や人生を「Entrance」にするトポスの発想は面白いです。
今後は北海道と台湾のイメージの重層絵画へと発展できるのが楽しみです。
齋藤玄輔さんのカーボン紙をスクラッチした植物の作品は版の概念を広げたと言えます。
地域性や歴史、植物のメタモルフォスなどを造形言語として取り込むと強靭なコンセプチャルアートになると思います。
小里純子さんの人物像は輝きと異彩を放っています。
美術教育が小回りの効くアーティストを養成する中、独自の道を歩む小里さんの強靭さは、私たちが失ったものの大きさを照らし出しています。
今後、どのような展開を見せるのか予断を許さない作家が現れたと喜ばしい限りです。
小林知世さんは作品と真っ直ぐに対峙する真摯な姿勢に大変好感が持てました。空気や気配など実態のないものを描ける作家さんは少ない。それを多重に重ねてどのような世界観を作るのかが楽しみです。今後、札幌のアート界を担える逸材と見た。今後の可能性大。
「アートボックス2019 審査を振り返って」

(4)國松明日香(彫刻家)
今回に限らず審査をしていて残念に思うことのひとつに、1次審査に応募される作品のプレゼンテーションの中に、お粗末なものが見受けられることが挙げられる。これでは実際のアートボックスの中でどの様な作品が展示されるのかが、審査をする側に伝わってこない。言葉の説明で作品のイメージを補おうとしても、言葉からイメージすることは、それを読む人が作者のイメージとは異なったことを思い浮かべてしまう恐れがある。これではたとえ優秀な作品であっても1次審査で敗退してしまう。今回2次審査に進んだ作品の中で、小里純子さんの作品「みんなと違って何が悪い」は、1次審査の時点では私は余り評価していなかった。しかし2次審査では、実際に展示しようとしている作品が数点持ち込まれた。それらの作品からは、小里さんの個性が素直にこちらに伝わってきて、とても説得力のある作品だと感じた。それらの作品がアートボックスの中に展示され、そこを行き交う人達がどの様な反応を示すか是非観てみたいと思った。今から楽しみにしている。このような私の経験から今一度記せば、出品される方は1次審査でのプレゼンテーションをもっと大事にし、アートボックスの中で展示したいことが、審査員に十分に伝わる様なものを出品して欲しい。そうでなければせっかくの作品が選から漏れ、それらの作品をアートボックスで観る機会を我々は失うことになる。そのようになることだけはなるべく避けたい。
「アートボックス2019の審査を終えて」

(5)寳地一仁(札幌駅総合開発㈱文化事業部長)
JRタワーアートボックスは、2008年に設置してから10年を過ぎたことや、近年アートボックスの応募状況が当初の見込みより減少してきたことから、2019年は一般公募の募集数を4名から2名にしました。残り2作品については、実績のある北海道の作家に制作を依頼する方式に変更しました。最終的な一般応募数は14名でしたが、二次審査に進んだ6名は、近年にないほどレベルの高い作家ばかりでした。北海道のアーティスト達にもまだまだ優秀な人たちがいることを実感しました。来年もアートボックスを続けていく予定ですので、アーティストの方々の応募を期待しています。
「アートボックス2019を振り返って 」


・作家指名のプロポーザルによる作品の選考会議におきまして
札幌市民交流プラザ事業部 札幌文化芸術交流センター事業 担当係長の
樋泉綾子様(ひいずみ あやこ)には、ご尽力を賜り、深く感謝申し上げます。


◎主催:札幌駅総合開発株式会社

◎協賛:札幌交通機械株式会社、北海道クリーン・システム株式会社、
株式会社北海道ジェイ・アール・エージェンシー、JR北海道駅ビル協議会

問合せ先:札幌駅総合開発株式会社 文化事業部
寳地(ほうち)・佐藤・木藤
TEL:011-209-5075
FAX:011-209-5074
 

 

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