札幌駅総合開発株式会社

アートボックス

ART BOX in JR TOWER

アートボックスとは?

JRタワーでは、コンコース、モール、駐車場、店舗などさまざまな場所に多彩なアートが共演しています。
JRタワーアートプロジェクトでは、北海道のアーティストたちに新たな発表の場を提供することを目的に、JRタワー1階東コンコースに「アートボックス」を設置いたしました。
2009年度からは、一般公募した作品の中から優秀賞に選ばれた作品を3カ月ごとに展示しています。
2013年度の作品展示は、グランプリについては、該当者はいませんので、優秀賞3名の展示を行います。第1回目の展示作品は、西田卓司の「カラフルから降るカラー」です。
展示期間
2013年6月1日(土)~2013年8月31日(土)
場所
JRタワー1階 東コンコース

カラフルから降るカラー

 色彩のコントラストは都市に於ける日常の差異であり、世界に対する違和感でもあり、
境界線そのものです。それは軽やかな色彩だけが積み重なっていく表面にのみ存在します。
 カラフルな身の回りの日常を再構築することで、現れる自分自身のリアリティ。
 都市に見立てたカラフルな行為は、色鮮やかに日常を彩りもしますが、同時に過剰なほどに暴力的で、それでいて猥雑な脆弱さがあります。
 人びとが行き交う札幌駅のなかに、そんなポップな「危うさ」を出現させることが出来たらと思います。


■作家のコメント
大学のとき、毎週のように山に登っていた時期がある。
大雪山で、ガレ場(岩だらけの道)を歩いたとき、登山道の道しるべのために岩に赤いスプレーで矢印のマークが、スプレーでクッキリーとマーキングされており、その色の鮮やかさが妙に印象に残っている。その山の中で見つけた人工的な、鮮やかな色彩は、自分がカラフルな色を使い始めた原体験となっている。
 
自分の制作活動は、絵画とインスタレーションという二つの両輪から成り立っている。
絵画作品は、パソコンで検索した画像や、自分の過去の記憶や、憧れをモチーフにすることが多い。
ドットやストライプのパターン模様や、画像の引用・コタージュを多用し、イメージをカラフルで暴力的に、平面上に構築していく作品である。
 
そのような絵画とは別のアプローチで、カラフルなプラスチック製品を積み重ねていくインスタレーションも制作している。カラフルでありながら積み木のような絶妙なバランスの上で成り立つ仮設的・刹那的なプラスチックの構築物は、コピー&ペーストの日常を繰り返す自身のリアリティそのものだ。
カラフルな色彩が持つ強さ/弱さ、暴力性/仮設性は日常に潜み続けている。
 
また、プラスチックを積み上げていく行為は、過去の自分と現在の自分をつなぐ方法の一つである。
子供の頃の積み木遊びは、レゴブロックで遊んだ記憶が蘇る。
おもちゃ箱の中は全て等価であり、見立ての連続であり、ストーリーも自分のなかにだけ存在していた。
 
そう考えると、絵画作品もインスタレーション作品も、失われた(失われそうな)その瞬間を繋ぎ止めておきたいという衝動がある。その感覚を共有したいがために、ポップな色彩にその想いを込めているのかもしれません。

西田卓司(にした たくじ) (2013年6月現在)

1983年 北海道札幌市生まれ
2007年 北海道教育大学札幌校芸術文化課程美術コース油彩専攻卒業
2009年 北海道教育大学大学院教育学研究科教科教育専攻美術教育専修西洋画研究修了
2010年 「ワーキング フロー」テンポラリースペース(札幌)
2010年 岩見沢アートプロジェクト「ZAWORLD II」岩見沢市内各所(岩見沢)
2011年 「Asian Art Way in Shanghai 2011」半島1919日本文化村(上海、中国)
2012年 「日常の冒険-日本の若手作家たち-」札幌大通地下ギャラリー500m美術館(札幌)
2013年 JRタワーARTBOX一般公募・優秀賞受賞